月山の雪解け水が、米を育てる
西川町は、出羽三山の月山と朝日連峰に挟まれた、年間降雪量が1000センチを超える豪雪地帯だ。この厳しい気候が、実は町の食卓の礎になっている。
月山の山麓から湧き出す水は、名水百選に選ばれた「月山山麓湧水群」として知られている。冬の深い雪が、ゆっくり地中を通って湧き出すこの水は、ミネラルバランスが良く、雑味がない。寒河江川を通じて町の水田を潤し、米を育てる。私が西川町の米を推す理由は、この水の存在だ。
はえぬきは、山形県を代表する米だが、西川町産のそれは、月山の湧水で育った米である。粒がしっかりしていて、炊くと一粒一粒が立つ。冬の間、白い飯が食卓に並ぶとき、その米は月山の雪解け水を吸収して育ったものだ。毎日の飯として、この米を選ぶことは、この町の風土そのものを家に迎え入れることになる。

名水が生んだ、三つの醸造文化
この町には、日本酒、ワイン、ビールの三つの醸造元がある。山形県内でこれが揃う自治体は、西川町だけだという。すべては、月山の湧水があるからこそだ。
月山ビールは、この町の地ビール工場で作られている。ピルスナー、ミュンヒナー、コクワの三種類を飲み比べるセットは、晩酌の時間を豊かにする。冷えた缶を開けたとき、その香りと味わいの奥には、月山の水がある。

山の恵みを、食卓に
西川町は、かつて林業が盛んで、山菜やキノコの生産が全国でも有数だ。出羽三山の信仰の道を歩む行者たちをもてなしてきた山菜料理の伝統は、今も町に息づいている。
月山和牛のロースももは、この山の環境で育った牛肉だ。すき焼きの鍋に入れたとき、肉の甘みが引き出される。冬の夜、家族で囲む鍋の中に、西川町の風土が映る。
寄付をして返礼品を受け取ることは、単なる商取引ではない。月山の雪、湧水、山の恵みを、自分の食卓に迎え入れることだ。毎日の米を炊くたびに、毎晩の晩酌のたびに、この町とのつながりが生まれる。
