盆地の南西、沼と山に囲まれた町の季節感
山辺町は山形盆地の南西に位置する、人口約1万3千人の町だ。北東の平地には役場や駅があり、そこから南へ向かうと、大小の沼が点在する山間部へと風景が変わっていく。白鷹山を南端に控えた地形は、春から秋にかけて、盆地の湿度と山からの冷気が交差する場所。この気候が、町の農業——特に果樹栽培——を形作ってきた。
ニット産業で知られる町だが、その傍らで、季節ごとに果実が育つ。昭和35年には昭和天皇が町内の工場を行幸啓されたほどの繊維産業の歴史がある一方で、台所の季節は、やはり果物と米で回っている。
夏から秋へ、川中島白桃の季節に
私が推したいのは、川中島白桃の特選品だ。6月から8月にかけて、盆地の南西の畑で育つこの桃は、山辺町の夏の顔である。

届いた箱を開けると、6個から12個の桃が、新聞紙に包まれて入っている。一つ手に取ると、その重さに季節を感じる。川中島白桃は、果肉が硬めで日持ちがよく、冷蔵庫で数日置いても風味が落ちにくい。朝、冷やした桃をナイフで半分に割ると、種の周りの果肉が濃い甘さを持つ。そのまま食べるのが最も素朴だが、家族が多ければ、一つを4等分して、朝食のテーブルに並べるのもいい。

桃は足が早い果物だと思われがちだが、この品種は違う。届いてから1週間、冷蔵庫で保存しながら、毎朝一つずつ食べるペースで、十分に味わい切ることができる。盆地の南西という地形が生んだ、この土地特有の甘さと硬さ。それが家の食卓に、夏から秋への移ろいとともに着地する。
米と、季節の果実の組み合わせ
山辺町の返礼品を選ぶなら、桃と一緒に米も欲しい。つや姫の精米か雪若丸の精米。どちらも山形県産の定番品種だが、つや姫は粒が大きく、雪若丸はやや小ぶりで甘みが強い。家族の好みで選べばいい。5キロは、一人暮らしなら2ヶ月弱、家族なら1ヶ月程度の量。毎日の白米が、この町の盆地で育ったものだという実感は、意外と食卓を豊かにする。

桃の季節が終わると、秋には梨やぶどうの季節へ。シャインマスカットと西洋梨の詰め合わせも、同じ町の秋の表情だ。盆地の南西という地形が、春から秋まで、どんな季節の果実を育てるのか。その流れを、返礼品で追うのも、ふるさと納税の一つの楽しみ方だと思う。
牛肉も、この町の産業の一部
繊維産業の傍らで、畜産も営まれている。山形牛の切り落としは、すき焼きや牛丼の具として、冬の食卓に重宝する。600グラムなら、家族4人で一度の食事に使い切れる量。冷凍で届くため、必要な時に解凍して使える。
山辺町の返礼品は、派手さはないが、毎日の台所に着地しやすい品ばかりだ。盆地の南西という地形が育てた果実、毎日の白米、そして季節ごとの牛肉。それらが、この町の風土を、最も素朴な形で伝えている。