冬の十勝で、牛は何を食べているか
大樹町は帯広の南、太平洋に面した町だ。西に日高山脈を背に、東は平地が広がり、歴舟川という清流が山から海まで、この町だけを流れて消える。冬は氷点下20℃を下回る日が続く。そういう土地で、牛たちは何ヶ月も、乾いた牧草を食べて過ごす。
北海道の酪農地帯では、夏の青い牧草から冬の乾草へ。その転換の中で、牛の体は濃くなる。脂肪の質も、筋肉の締まり方も、季節の厳しさに応じて変わる。大樹町の基幹産業は酪農と漁業。雪印メグミルクの工場もあり、この町の乳は全国の食卓に届いている。その同じ牧草地で育つ牛肉は、乳牛の副産物ではなく、十勝の風土そのものを食べた肉だ。
十勝姫焼肉セットは、肩ロース、ブリスケ、カルビ、シンタマの四部位を合わせた1kg。部位ごとに異なる脂の入り方、筋の走り方を、焼肉という調理法で一度に味わえる構成だ。

家の食卓に、部位の違いを並べる
焼肉は、部位を並べることで初めて完成する食べ方だ。肩ロースの赤身の甘さ、ブリスケの濃い脂、カルビの柔らかさ、シンタマの歯応え。四つを同じ火で焼きながら、食べ手が自分のペースで選ぶ。子どもは脂の少ない部位から、大人は濃い部位へ。同じ夜の食卓で、異なる食べ方が共存する。
冬の北海道の家では、焼肉は室内で焼くことが多い。ホットプレートの上で、肉が縮む音。脂が跳ねる匂い。窓の外は氷点下だが、食卓の上は熱と湯気に包まれる。そういう季節の食べ方が、この町の牛肉には似合う。
大樹町は、いま宇宙産業の拠点へと変わろうとしている町だ。だが、その足元にあるのは、依然として牧草地であり、清流であり、冬の厳寒だ。返礼品として届く焼肉セットは、その風土の厚みを、最も素朴な形で家に運ぶ。
