山の懐で、農村の時間を過ごす
中札内村は十勝平野の西端にある。村の背後には日高山脈が控え、札内川がその山々から流れ下ってくる。防風保安林に守られた農村原風景——それが、この村を「日本で最も美しい村」連合に認定させた理由だ。
冬は-25℃に達する厳しい寒冷地。夏と冬の気温差が大きく、降雪量も多い。そうした気候の中で、この村の人たちは有機農業を営んできた。1985年に「有機農業の村」を宣言し、「土から出たものは土に返せ」を合言葉に、畑と向き合ってきた歴史がある。
グランピング リゾート フェーリエンドルフは、そうした風景の中に立つ。一棟貸しのコテージで、山と川に囲まれた環境の中、農村の時間を過ごす。寄付すれば、1泊2日の宿泊券が届く。

風景そのものが、返礼品になる場所
この村には、鉄道がない。1987年に広尾線が廃止されて以来、バスと車が交通の主役だ。だからこそ、訪れる人は必然的に、ゆっくり風景を眺めながら移動することになる。帯広から車で30分ほど。その間に、十勝平野の景色は少しずつ変わり、西に向かうにつれて山が近づいてくる。

札内川上流には、日本国内最大級のケショウヤナギ群生地がある。十勝幌尻岳は国の名勝「ピㇼカノカ」に指定されている。こうした自然資源に囲まれながら、村は「北の大地を彩るアートと文化」をもう一つの顔として育ててきた。花フェスタ、ビエンナーレ、フォトコンテスト——季節ごとに、村の風景を見つめ直す催事が開かれている。
コテージに泊まることは、その風景の一部になることだ。朝、窓を開けば防風林の向こうに山が見える。夜、静寂の中で星を見上げれば、この土地の時間の流れが感じられる。返礼品は、宿泊券という形をしているが、本質は「この村の風景と時間を、自分の身体で経験する権利」である。
