山の恵みを、台所へ
新得町は北海道の断面図の中心に位置する、森の町だ。総面積の約9割が森林で、北部は大雪山国立公園の国有林に覆われている。トムラウシ山、佐幌岳、十勝岳——日本百名山に数えられる山々が町を囲み、その麓には十勝川やトムラウシ川が流れ、湿潤大陸性気候の厳しい冬を迎える。
こうした地形と気候の中で、新得の食卓に欠かせないのが野生の鹿だ。大雪山系の森に生きるエゾ鹿は、季節ごとに異なる草木を食べ、その肉質も変わる。エゾ鹿肉の食べ比べセットは、そうした季節の違いを一度に味わえる構成になっている。

鹿肉は牛や豚とは異なる、独特の風味を持つ。脂が少なく、鉄分が豊富で、加熱すると引き締まる。届いた肉を冷蔵庫に入れたとき、その色の深さに気づく人も多い。赤身の濃さは、野生動物の生命力そのものだ。
調理の現実、季節の手当て
鹿肉を家の台所で扱うには、牛肉とは違う工夫が必要だ。脂が少ないため、焼きすぎると硬くなる。薄くスライスして、さっと火を通す。あるいは、時間をかけて煮込み、肉の繊維をほぐす。赤ワインやしょうゆベースの漬け込みも、この肉の風味を引き出す手段だ。

新得の冬は-20℃前後に冷え込む特別豪雪地帯。こうした環境で、鹿肉は保存食としても機能してきた。冷凍で届いたセットは、季節を問わず、家の食卓に山の季節をもたらす。秋に狩られた鹿、冬を越した鹿——それぞれの肉質の違いを食べ比べることで、新得の森の時間が、あなたの食卓に着地する。
町の農業は畑作・畜産・酪農の大規模経営が中心だが、林業も盛んで、製材の出荷量は十勝管内で有数だ。その林業を支える森の中で、野生の鹿は生きている。狩猟と食卓は、この町の風土と切り離せない関係にある。
