風と海が一体になった町で、漁師たちは何を獲るのか
北海道の南東端、襟裳岬。ここは日本でも有数の風の強い場所だ。年間269日以上、風速10メートル以上の日が続く。その風は、かつて砂漠のような荒れ地だった岬を、1953年から半世紀かけて緑化させた。同時に、その風は海を動かし、栄養豊かな潮流をもたらす。えりも町の漁業は、この風と海の関係の中で成り立っている。
昆布の漁場として江戸時代から栄え、今もコンブ、サケ、ウニが主要な漁獲物だ。町の海岸線は53キロメートルに及び、日高山脈と太平洋に挟まれた地形が、独特の漁場を作り出している。寄付すると届く返礼品の多くが、この海からの恵みだ。
秋鮭を塩漬けにしない、素の味わい
推したいのは、秋鮭の切り身(無塩)だ。

「訳あり」という名前がついているが、これは規格外や不揃いという意味。漁師の手で一尾ずつ丁寧に処理された鮭が、塩漬けにされず、そのまま冷凍で届く。北海道産の秋鮭は、産卵期を前に身が締まり、脂が乗る時期の鮭だ。
家に届いたら、解凍して焼くだけでいい。塩をふって、朝日が入る台所で焼く。皮がぱりっとなり、身がほぐれる。白い身と、薄いオレンジ色の部分が、火を通すことで色が変わる。その変化を見ながら、季節が秋に向かっていることを感じる。
無塩だから、塩辛くなりすぎない。素材の味が前に出る。ご飯の上にほぐしてのせてもいいし、冷めてからほぐして、おにぎりの具にしてもいい。一週間、毎日違う食べ方ができる量だ。
他の海の幸との組み合わせ方
えりも町の返礼品は、海の幸が中心だ。オオズワイガニやたこしゃぶも選べる。

カニは、ボイル済みのものを選ぶと、届いてすぐに食べられる。冬の夜、家族で殻をむきながら食べる。手が汁で濡れて、会話が増える。たこしゃぶは、薄くスライスされたミズダコ。鍋に湯を沸かして、さっとくぐらせて、ポン酢で食べる。歯ごたえが残り、海の香りが口に広がる。
これらは、秋から冬にかけて、食卓に季節感をもたらす品々だ。えりも町の漁場から、直接家の食卓へ。風の強い岬で育った海の幸は、素朴で、飾らない。それが、この町の食べ方だ。