太平洋が前浜の町の、秋の仕事
様似町は日高山脈が太平洋に迫る地形だ。町の前には津軽海流と千島海流が交わる漁場がある。古くから「水産業の町」と呼ばれてきた理由は、この二つの流れが運んでくる多種多様な魚たちにある。
サケ・マスの漁獲量は全国9位。その秋鮭の一部は「銀聖」というブランド名で流通している。つまり、この町で獲れた秋鮭は、定置網にかかった時点で既に品質が認められている。その鮭の卵を、塩漬けにして家に届けるのが 塩いくら だ。

500グラムというのは、家の食卓にちょうどいい量だ。海鮮丼の上に乗せるもよし、握り寿司のネタにするもよし。塩漬けだから、冷蔵庫に入れておけば日々の食事に少しずつ使える。朝ごはんの白いご飯の上に一さじ乗せるだけで、その日の朝食は決まる。
塩漬けという加工は、単なる保存ではない。塩が卵の旨味を引き出し、時間とともに味わいが深くなっていく。届いた直後と、一週間後では、同じ塩いくらでも食べ手の感覚は変わる。
昆布とタコ、漁場の多様性
この町の海はいくらだけではない。昆布も全国屈指の産地で、ミツイシコンブ(日高昆布)の漁獲量は全国6位。タコも定置網で獲れる。煮たこ足 は、小分けサイズで届く。冷凍のまま、酒の肴にしたり、サラダに混ぜたり、子どもの弁当に入れたり。調理の手間がない分、毎日の食卓に組み込みやすい。

山を背に、海を前に
アポイ岳ジオパークとして世界に認定された地形の中で、人々は漁をしてきた。星のイスキア という宿泊施設もある。トレーラーハウスという、移動可能な小さな家で、山と海の風景を眺めながら泊まる。返礼品として選ぶなら、この町の地層と生業を一度に感じる体験になるだろう。

様似町の返礼品は、派手さより、毎日の食卓に根ざしたものばかりだ。塩いくら一つとっても、それは秋鮭が獲れる季節、この町の漁師たちが前浜で仕事をしている証だ。
