厚真川が育てた、米の町の選択肢
北海道の南西部、夕張山地から太平洋へと流れ落ちる厚真川。その流域をほぼそのまま町域とする厚真町は、南北に長い地形の中で、稲作を中心とした農業の町だ。胆振管内では随一の作付面積を誇る米どころ。1870年に新潟県からの入植者が本格的な開拓を始めてから、150年以上、この川沿いの土地で米が作られ続けている。
私がこの町を見ると、米作りの歴史と地形が一体になった風景が浮かぶ。山から流れ出る水、その水が潤す田んぼ、そして秋の収穫。その営みの中で、この町は特A等級の米を何種類も育ててきた。
推し一品:選べる発送月のたんとう米
この町の返礼品の中で、最も厚真らしいのは、米そのものだ。特に「たんとう米」という品種は、この町の農業協同組合が推す主力品。令和7年産の特A等級、ななつぼし種の5kg。
何が厚真らしいか。それは「選べる発送月」という仕組みだ。秋の新米を待つ家庭もあれば、冬の備蓄を考える家庭もある。春先に新しい米が欲しい人もいるだろう。この町は、寄付者の食卓の季節に合わせて、米を届ける選択肢を用意している。それは、米作りの町が、米を食べる側の暮らしを想像しているということだ。
届いた5kgを開けば、白くつやのある粒が詰まっている。炊飯器に入れて、水加減を整える。蒸らしの時間に、米の香りが立ち上る。その香りは、厚真川流域の土と水と、150年の営みが詰まったものだ。毎日の食卓に、この米が並ぶ。それが、ふるさと納税の返礼品の最も自然な着地点だと思う。
他の選択肢:品種と季節の組み合わせ
この町の米の返礼品は、複数の品種から選べる構成になっている。さくら米、ゆめぴりかなど、それぞれ異なる特性を持つ。ななつぼしは粘りと甘みのバランスが特徴。ゆめぴりかはより粘りが強い。さくら米は、この町が育てた別の系統。


米以外では、こくわワインという選択肢もある。白ワイン、辛口。厚真町の農業の多様性を示す品だ。米だけでなく、この町の土地が育てた別の作物もある。ただし、この町の顔は、やはり米にある。
選べる発送月という仕組みは、単なる利便性ではなく、米を食べる側の季節感を尊重する姿勢だ。秋に新米が欲しい人、冬に備蓄したい人、春先に新しい米を迎えたい人。その全てに応える。それが、厚真川流域で150年以上、米を作り続けてきた町の、食卓への向き合い方なのだと思う。