冬の内陸で、塩と風が仕事をする
置戸町は北見の南西、常呂川が流れ下る山間の町だ。冬は気温が氷点下25℃近くまで下がり、降雪量も多い。こういう土地では、食べ物の保存と加工が生活の知恵になる。
置戸市場特製の開きホッケは、そうした風土の中で作られている。ホッケ自体はオホーツク海の魚だが、塩漬けにして干す工程は、この町の冬の気候があってこそ。塩辛さと風乾の加減が、毎年の気温と湿度に左右される。置戸の職人たちは、その変化を読みながら仕上げている。

届いたホッケは、焼く前に軽く水で塩を落とす。朝食の焦げ目、夜の晩酌の肴——季節を問わず、台所に置いておくと、何度も出番がある。身がしっかりしているから、一枚で食べ応えがある。骨も食べやすく、小骨が少ないのは、塩漬けから干す過程で身が締まるからだ。
山と川に囲まれた町の、食卓への距離
置戸町は農業と林業の町でもある。テンサイ、小麦、ジャガイモ、玉ねぎ——畑作が盛んで、ヤーコンという珍しい野菜も栽培されている。そして木工工芸の「オケクラフト」も知られている。
しかし、この町の食卓に最も身近なのは、やはり保存食だ。冬が長く、気温差が大きい土地では、塩漬けや干物が、春まで家族を支える。ホッケのような海の幸を塩漬けにして、冬の間、何度も食卓に上せる——それが置戸の暮らしの現実だ。
開きホッケは、そうした生活の中で磨かれた技の結果である。市場で選別され、塩漬けにされ、この町の冬の風で干される。5枚セットで届くのは、一度の食事ではなく、何度も食べることを想定しているからだろう。冷凍保存もできるから、春になっても、夏になっても、焼いて食べられる。
