海の幸を塩漬けにする台所の知恵
増毛町は、ボタンエビの漁獲高が日本一の町だ。ただし、その事実だけでは、この町の食卓は見えない。
冬の日本海は荒れ、沿岸部の集落は雪に閉ざされる。そうした季節の中で、漁師たちが獲った海の幸をどう保存し、どう食べてきたか。その答えが 海鮮松前漬 に詰まっている。

いくら、ほたて、海老、数種の貝類を塩漬けにしたこの一品は、北海道の沿岸部で古くから作られてきた保存食だ。届いた時点で既に味が調ったものを、ご飯の上にのせるだけで晩酌の肴になる。瓶を開けた時の塩辛い香りは、この町の漁業の歴史そのものだ。冷蔵庫に常備しておけば、朝食の白米にも、酒の肴にも、おにぎりの具にもなる。一度開けると、毎日少しずつ減っていく。そういう「台所に根付く返礼品」である。
秋の果樹園から、冬の食卓へ
増毛町の地形は険しい。西は日本海、東は山地に挟まれ、ほとんどの集落は沿岸部に集中している。その限られた平地で、この町は果樹栽培を営んできた。
秋の旬なフルーツ詰合わせは、10月から発送される。ブルーベリーやその他の季節の果実が、農家の手で選ばれて届く。北海道の日本海側は、夏と冬の寒暖差が少なく、比較的温和な気候だという。その気候が、甘みの濃い果実を育てる。

届いた果実は、そのまま食べるのもよし、ジャムにするのもよし。冬が長い北海道の台所では、秋に届いた果実を瓶詰めにして、春まで食卓に置く家も多い。返礼品として届いた時点で、その先の季節の食べ方まで想像できる品だ。
良質の水が生んだ酒
漁師の力酒は、この町で醸された日本酒だ。増毛町には明治時代からある造り酒屋があり、良質の水を利用して酒造が行われている。その酒が「漁師の力酒」という名で、赤と黒の2本セットで届く。
晩酌の時間に、海鮮松前漬をつまみながら、この酒を一杯。増毛町の漁業と水、そして季節が、一つの食卓に集約される瞬間だ。