石狩川の流域で、ぶどうを育てる手仕事
浦臼町は、北海道空知のほぼ中央、石狩川の右岸に位置する人口1700余りの町だ。樺戸山地に囲まれ、町内を流れる浦臼内川はアイヌ語で「簗の多い川」を意味するという。この地形と水が、この町の産業を形作ってきた。
私がこの町を訪れて最初に目に入るのは、ぶどう畑だ。鶴沼ワイナリーが手がけるワイン用ぶどうの作付け面積は、日本で最大級。冷涼な気候と、石狩川がもたらす水はけの良い土壌が、ぶどうの栽培に適している。ここで育つぶどうから生まれるのが、鶴沼収穫ワイン ミュスカだ。

このワインは、やや甘口の白ワイン。ミュスカという品種は、マスカットのような香りを持つ。浦臼の冷涼な気候で育ったぶどうは、酸度が高く、香りが凝縮される。醸造所の職人たちは、その年の気候、ぶどうの熟度を読みながら、仕込みの時期を決める。樽での熟成期間も、毎年異なる。一本のワインの背後には、ぶどう栽培から瓶詰めまで、数ヶ月から一年以上の時間が積み重なっている。
晩秋、ぶどうが色づく季節。浦臼の台所では、このワインが食卓に上る。冷やして、チーズやデザートと合わせる。あるいは、秋の夜長に、一人静かに飲む。やや甘口だからこそ、食事の後の時間に、ゆっくり味わう人も多い。
米作りの季節、毎年の営みが返礼品になる
ワインと並んで、浦臼の産業を支えるのが米だ。浦臼産ななつぼしや浦臼産ゆめぴりかは、この町の水田で毎年育てられる。

アイヌ語で「簗の多い川」と呼ばれた浦臼内川は、かつて鮭やマスが遡上する川だった。その川が、今は水田を潤す。春の田植えから秋の収穫まで、農家たちは毎年同じ営みを繰り返す。土を耕し、種もみを育て、苗を植え、水を管理し、稲を見守る。その営みの結果が、精白米として家に届く。

ななつぼしは、北海道を代表する品種。粘りと甘みのバランスが良く、毎日の食卓に向く。ゆめぴりかは、より粘りが強く、冷めても美味しいとされる。どちらも、浦臼の冷涼な気候と、石狩川流域の肥沃な土壌で育つ。農家が選んだ品種、その年の気象条件、水管理の工夫——それらすべてが、一粒の米に凝縮されている。
定期便を選べば、毎月、新しい米が家に届く。季節が進むにつれ、同じ品種でも、その年の気候の影響を微かに感じることができるだろう。米作りは、一度の営みではなく、毎年繰り返される営みだからだ。