山と海が一直線に落ちる、漁師の町
北海道の西端、檜山振興局の北部にあるせたな町。狩場山から遊楽部岳へと連なる山々が、そのまま日本海に落ち込む。急峻な海岸線に沿って国道229号が走り、漁港が点在する。この地形が、町の食卓を決めている。
山が近いから、海も深い。深い海だから、良い魚が獲れる。特にするめいかは、この町の漁師たちが秋から冬にかけて仕込む、季節の仕事だ。獲ったその日に塩漬けにし、干す。手間と時間をかけた乾物は、おつまみにもなれば、煮物の具にもなる。台所に常備されるのは、そういう理由からだ。
漁師が自分たちで仕込む、するめいかの味
漁師特製のだるまいかは、この町の漁業の現場そのものだ。だるまいかとは、するめいかの胴体部分。足を取り除いた、身の詰まった部位である。漁師が自分たちで塩漬けにし、乾燥させたものが届く。

届いた時点で、すでに食べられる。炙ってそのままおつまみにするのが最も簡単だが、私は水で戻して、細く裂いて、ご飯に乗せることが多い。塩辛さが白いご飯を引き立てる。あるいは、昆布と一緒に煮込んで、甘辛く仕上げる。冬の夜、台所で火を入れながら、この乾物がどこから来たのかを思う。狩場山の麓の漁港で、漁師の手が動いていたのだ。
乾物だから、保存も簡単。冷暗所に置いておけば、季節を越える。だからこそ、秋に獲れたするめいかが、春の食卓にも上る。その間、味は深くなっていく。
海の恵みを、家の食卓へ
せたな町の返礼品は、海の仕事の現場から直結している。甘えびは、刺身で食べるなら解凍後すぐ。唐揚げにするなら、水気を拭いて片栗粉をまぶす。丼にするなら、温かいご飯の上に乗せて、出汁をかける。同じ食材でも、その日の気分で食べ方が変わる。冷凍で届くから、必要な分だけ使える。

するめは、さらにシンプルだ。12枚セットで届く。そのまま食べるか、軽く炙るか。日本酒の肴として、あるいは子どものおやつとして。乾物の強みは、そこにある。
ななつぼしは、この町で作られた米だ。秋に収穫され、精米されて届く。毎日の食卓の中心になる。海の幸を引き立てるのは、こうした米の存在だ。
せたな町に寄付すると、山と海が一体になった、この町の食べ方が家に届く。それは、観光ではなく、生活だ。