山の斜面が果樹園に変わった町
芦別は、空知川流域の山深い町だ。市域の約9割が山岳・森林地帯で、夕張山地の北部を大きく抱えている。かつてこの山々は石炭を産出し、最盛期には人口7万を超えた。だが閉山とともに人口は激減し、町は静寂に包まれた。
その後、この町は別の道を歩み始めた。山の斜面、かつて炭鉱で掘られた土地が、いま果樹園に生まれ変わっている。降雪量が多く、冬は−25℃近くまで冷え込む厳しい気候。その環境こそが、果実に深い味わいをもたらす。大橋さくらんぼ園のような農家たちが、この地で季節の果実を育てている。
冷凍プラムが、晩夏の食卓に着地する
私が推したいのは、冷凍プラムだ。

届いた箱を開けると、500gの冷凍プラムが詰まっている。急速冷凍されているから、解凍すると果肉がしっかり残る。夏から秋へ移る時期、冷蔵庫から取り出して、半解凍のまま食べるのが私の食べ方だ。冷たさと甘酸っぱさが同時に口に広がる。あるいは、ヨーグルトに混ぜて朝食に。ジャムにするなら、砂糖を控えめにして煮詰めると、プラム本来の香りが活きる。

この冷凍という手法が、芦別の果実の価値を引き出している。旬の盛りに摘んだ果実を、その場で急速冷凍することで、季節を閉じ込める。冬の台所でも、夏の果実の味わいが蘇る。北海道の短い夏、集中して育った果実だからこそ、この保存法が活きるのだ。
他の果実、そして米との組み合わせ
同じく大橋さくらんぼ園からは、冷凍アロニアも届く。アロニアは、ポーランドが原産の小さな黒い果実。酸味が強く、生食よりもジュースやジャムに向く。冷凍のまま鍋に入れて、砂糖と一緒に煮詰めると、深い紫色のジャムになる。朝のトーストに、あるいは冬のヨーグルトに。

芦別の食卓をもう一つ支えるのが米だ。ゆめぴりかとふっくりんこの食べ比べセットは、北海道産の二つの品種を各300gずつ。ゆめぴりか、ふっくりんこ、どちらも特A評価を獲得した品種である。冷凍プラムの甘酸っぱさを引き立てるのは、こうした良質な米の白さと甘さだ。朝、プラムジャムをのせたご飯を食べる。昼、アロニアジャムを混ぜたヨーグルトを食べる。その間に、米の味わいが季節の果実と対話する。
山深い町が、いま季節の恵みを冷凍という技術で届ける。それは、かつての産業から新しい産業へ、町が歩み直した足跡そのものだ。
